目(視線)についての考察 ~目は口ほどに物を言う~

北海道 札幌支部の榊原一樹と申します。

<はじめに>

2020年から新型コロナウィルスの影響で、マスク生活が当たり前になって約3年。より目から得られる情報の大切さに気付かされることが増えました。

カウンセラーという仕事に関わらず、“人の話を聴く”こと全般に関して、耳だけで聴くのではなく、目でも心でも聴き、感じるというのはとても大切だと日々感じていますが、あらためて目について調べたこと、感じたことを綴らせていただきます。

目に関する言い回し

タイトルにもさせて頂いた『目は口ほどに物を言う』は「目は口以上にその人の感情を表す」という意味のことわざで、ご存知の方も、体験として言わずもがなという方も多いかと思います。

類語として、「目はその人の心の中を映し出す鏡」という意味の『目は心の鏡』、「相手が承知しているか不承知なのかは、目を見て判断しなさい」という意味の『成るか成らぬか目元で知れ』などもありますが、古くから、そして海外でも目に関することわざや言い回しはあるようです。

時に言葉が通じなくとも、目や表情で会話をすることがあることを考えれば、世界共通と捉えても良いのかも知れません。

人に関する記憶

コロナ禍で偶然再会した知り合いが自分を見つけてくれた時、マスクもしていて、帽子もかぶっていて、メガネもかけていたのにどうして気付いたのか尋ねると、シルエットもひとつではありましたが、「目を見て間違いないと思った」とおっしゃいました。
長年接客業を通して何千人もの顔を覚えるホテル従業員さんや、指名手配犯を追う警察の方も“目を中心に顔の特徴を捉える”“変わりにくい目の周辺をポイントとして見る”ということがあるそうです。

もともと秋から春まではマスクをして外出する人間でしたが、知らない人に道を尋ねられるとか、ご老人にいきなり何でもない話を振られるといった経験に関しても、醸し出している雰囲気だけでなく、目を見てくださっていたというところがあるのかも知れません。

かの渋沢栄一さんの言葉に『人を見極めるのには瞳を見るのが一番よい。瞳は自分の悪を隠すことができない。心の内が正しければ瞳も澄んでいるが、そうでなければ濁っているものだ。言葉を聞いて瞳を見れば、その人の心のありさまが分かる』というものがありますが、人として、カウンセラーとして大切な自己一致に繋がってくるように感じます。

(なぜ瞳を見ればその人の本性が分かるのか?)

そもそも人間は顔から相手がどういう人か判断しようとしますが、生まれてすぐの赤ちゃんでも顔もしくは顔らしい配置のものに興味を持ちます。目を表す二つの点と、その下の口もしくは鼻を表す点(どちらかでも良い)があることに注目するため、代表的なもので言えば車のフロントに表情を感じたりすることがあるのはその一つです。

(【顔面学講座⑥】赤ちゃんは顔が好き〜なぜ人間は顔を見ようとするのか?)

あえて見る、あえて見ない

相手が大事な話をしている時は「目を合わせる」というのが当然という場面は多いかと思います。
20代前半の頃、接客業の中をしていた中で、とあるクレームで暴力行為をされかねないお客様に「表へ出ろ」とドラマか何かのように言われたことがありました。内容が少し理不尽だったため、こちらも引き下がらずに「ここでお話を伺います」と
目を逸らさずに話を続けていると、「兄ちゃんの心意気に免じて許す」と言われ解決したという経験がありました。ここで思い出していたのは、いつか母が言った「ケンカする時は相手から目を逸らさないこと」という言葉でした。そんなに誰かとケンカをするような人間ではないので、この言葉が役に立つ日が来るとは思っても見ませんでしたが、ケンカという場面に限らず、大切な話をする、もしくは聴くという場面における目の力も重要なのだと感じた人生の1シーンです。

一方で、時と場合によっては「目を合わせない」ということが必要になってくることもあります。
接客業の中では、大前提としてお客様からの視線には気付くことが大切ではあります。ただし、お客様が一人ではない場合や、あまりにも攻撃的あるいは好意的すぎる場合には「あえて見ない」というのもひとつのテクニックでした。気付いてはいるのだけれども、今は先に対応しているお客様がいるので、(すぐに伺いますというマインドは持ちながら)あえて反応を遅らせる。理不尽なクレームや個人的な感情をぶつけられそうになるのを察し、(冷めるのを待つというニュアンスで)あえて見ない。仕事上の関係であり、個人的な関係ではない事から、(勘違いをしていただかないために)あえて見ない。そういった場面もありました。

最後に

あらためて、一口に「目」と言っても、物理的な目、視線という意味から心の目、視点など様々だと感じます。コロナ禍を経て感じた目に関する考察が、以前の仕事やカウンセラーの仕事とも繋がり、また再確認させていただけるとても良い機会になりました。何を見るのか?どう見るのか?これからも広い視野で多くの視点で考え、感じながら活動してまいりたいと思います。

 

榊原一樹カウンセラー 北海道札幌市

くれたけ心理相談室 札幌支部 榊原 一樹
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