「吃音症について」
くれたけ心理相談室 神奈川県 大和支部の掛川恵二と申します。
今回は、「吃音症」について書かせていただきました。
吃音症
「吃音(きつおん)」という症状がある人をご存知でしょうか。実は私がその1人です。
かつては「どもり」という言葉で表されていましたが、差別的なニュアンスを含んでいるため近年では「吃音症」と呼ばれており、日常的に言葉が滑らかに出てこない状態のことを指します。
具体的な症状としては
・連発(音の繰り返し)、例として「こんにちは」を「こ、こ、ここんにちは」
・伸発(音の引き伸ばし)、例として「ありがとう」を「あーーー、あーりがとう」
・難発(音の詰まり)、例として「お疲れさま」を「…、…、お疲れさま」
の3つに大きく分類されています。
またこれらが複数組み合わせで表出したり、滑舌の悪さとも合わさるなど症状や程度は様々ですが、日常的に人とのコミュニケーションに苦労や工夫をしています。症状について詳しくお知りになりたい方は、日本財団の情報や国立リハビリテーションセンターの情報をご参照ください。
私自身の症状
私は幼少期から3つの症状全てがあり、現在まで続いています。今回はそんな私の日常を少しだけ紹介させていただき、吃音症のことに関心を向けていだければ幸いです。
先ほど、症状は様々とお伝えしましたが私は「あ行とさ行」が組み合わさる言葉が苦手です。「?」と思うかたが大半だと思いますので、いくつかご紹介します。
例えば「足(あし)」「明日(あした)」「椅子(いす)」「石(いし)」「うさぎ」「餌(エサ)」「オセロ」…といった言葉です。あげればキリがないのですが、なんとなくご理解いただけるでしょうか。
これらの言葉を話そうとすると「あああ足」「あし、あし、明日」「いーーーす」といった吃音です。
しかし、不思議なことに「足」だけでは吃音になるのですが「両足」と、あたまに「りょう」を付けることで、その後ろに続く「あし」がスムーズに喋れたりします。これは吃音者それぞれに異なると思いますが、伝えたい言葉を発音しやすい言葉に少し加工したり言い換えたりする「技」を使って日常を乗り切っています。
他には
「あした」→「みょうにち」
「石」→「小石」「小さい石」
「うさぎ」→「野うさぎ」「白いうさぎ」
「餌」→「動物の食べ物」
「赤」→「真っ赤」
といった具合に同じ意味になるような他の言葉を使ったり、付け加えたりする技です。
例えば、ファストフード店で「いちごのジュース Sサイズ」を注文する場合には、「ストロベリージュース 小さいサイズ」と言い換えます。理解のある私の妻も「変な頼み方だね(失笑)」と言われましたが(笑)
しかし、会話の流れや場面によっては、相手にやや違和感を持たれたり、伝わらなかったりします。たとえば、幼い子供に対して「あした」を「みょうにち」に言い換えても伝わらないといった場合です。
このように、この技が使えない場合には、人の助けを借りるという大技を使うこともしばしばあります。ますます「??」ですよね。例えば、、、
「オセロ」→「ほら、白と黒のひっくり返すゲーム」→「えっ、オセロのこと?」→「そうそう。それ」
といった具合に、言葉をド忘れした雰囲気を出しつつ相手に助けてもらう感じです。本当は名前を知っているAさんのことを話したいのに出ない場合は、「ほら、メガネかけて背の高い男性の、、、」と言って特徴を言って、「ああAさんね」と相手に言い出してもらったりもします。
最後に
とても理解が難しいと思いますが、吃音者の症状と日常生活を私の事例を通じて知っていただき、クライエント様で吃音者の方とご縁があった際のご参考になれば幸いです。
もしも吃音者の方とコミュニケーションする機会がありましたら、言葉が出るまでゆったりと待って、時にはパスを投げてくださると助かると思います。
吃音が原因でいじめに遭い苦しまれている方、就職に不利な状況にある方、子供が吃音になってしまい将来を不安に感じている親御様など、吃音にまつわるお悩みをお持ちの方は少ないながらも確実に世の中にはいらっしゃると思いますので、理解を深めていただければ幸いです。
くれたけ心理相談室 神奈川県 大和支部
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