グループミーティングにおけるダイナミクス(集団力学)について

くれたけ心理相談室 庄内支部の高橋 友里安です。

今回はPTSDの治療グループについて、どのようにグループミーティングが機能するのか考察していきます。

PTSDの治療グループミーティングについて

<ミーティングの方法>

週に1回・定期開催→定期的に時間を決めることで安心感を与え、予定を入れることで目標ができるため
1回約90分

人数 5~6人がベスト 人数が10人以上になってくると一人に与えられる話時間が極端に減るため、多くても8人

ルール
・言いっ放し聞きっぱなしで、自分の事を何でもいいから話す
・話されたことについて周りは意見、批評してはいけない
・後に蒸し返してもいけない
・外で口外厳禁
・話したくない場合はパスしてよい

場を制御できるカウンセラー、ファシリテーターが居る場合はレクチャーが入る場合もあり

こんな感じで開催されます。

PTSDやトラウマの治療段階

PTSDやトラウマの治療段階は大きく三つに分けられ

1・導入・安全確保        【守】
2・グリーフワーク(悲嘆の仕事)   【破】
3・意味づけの再構築                      【離】

となります。

<1の段階>
の段階のクライアントさんはグループの中では話を聞いているだけ、自分の話をしても他人の事のように話す、顔が能面のように表情が薄い、”ここに居る”感じが無い、などの印象を受けます。
自分を防衛するため、感じることよりも、考えることが優位(左脳優位)になっています。
この段階のクライアントさんは他の人の話を聞いて安全観を確保する段階です。
ここなら話しても大丈夫なんだ、感じたことを言っても安全なんだという経験を獲得し、自分のことを正直に話す練習になります。
建築現場でいう足場を構築していきます。
感情がうまく言葉に乗せられないため、抵抗を覚えたり、強い怒りがあるなど、人によっては鬱がひどくなったりします。

<2の段階>
の段階のクライアントさんは本格的なグリーフワークに入ってきた人のことをいいます。
安全観を確保したところで今まで感じないように逃げてきた感情や痛みと対峙する段階です。
の安全観の確保ができていないと、この痛みに耐えるのはかなり大変です。
ここにグループでしかできない力学が働きます。
の人達は、その痛みと感情をしっかりと自分の言葉に乗せて何度も何度も吐き出すことでやがてそれは次第に治まってきます。その姿はの段階の人への案内役にもなります。

トラウマは感じきるとやがて統合されて消えていきます。
人によっては、「私はなんであんなに泣いたり怒ったりしていたんでしょう?」とケロッとしている人もいます。
反対に感じることをせず、逃げているとずっとそれを抱えたまま生きなくてはいけません。
痛みを解消するために一旦痛みを感じなくてはいけないというパラドクスを通過します。
とても辛い作業になります。

<3の段階>
3の段階のクライアントさんはグループに居場所をしっかりと構築し、グリーフワークを終え
トラウマなどの心の傷に対する意味付けを再構築していく人達です。
「親に虐げられ、心も身体もボロボロにされた自分」から「大変な目に遭ってきたけれど、それでも力を持って生きてきた私」という風に。
レジリエンス(回復力、弾力性)を構築していく段階です。

の人が自分の過酷な経験を落ち着いた口調で話していたら、それは左脳をフルに活用し”考えて”話しています
の人が自分の過酷な経験を落ち着いた口調で話していたら、それは感情から逃げているか、探っている真っ只中ということです
の人が自分の過酷な経験を落ち着いた口調で話していたら、それは今まで握って取れなかった感情が統合されて意味付けがなされているのです

なので今、この人はどの段階にいる人なのか、カウンセラーやファシリテーターはレクチャーをする場合見分けることが必要になってきます。
すべて、キレイに切り分けられることはありません。グラデーションはありますが。

グループは、この三段階の人がそれぞれ一通りいると、お互いがお互いを刺激しあってバランスがとれ、グループが最大に機能します。

の人は2,3段階の人に未来を見ます

の人は1,3の段階の人達にその姿をさらし、見守られることで大きな事を成し遂げます

の人は、見守り、自分の過去や経験をシェアすることで、自分の力を取り戻して行く

どの段階の人もちゃんと役割があって必要なのです。
こんなところにグループならではの治療効果があります。
守・破・離 です。
書いていて気がつきましたが、日本語ってすごいですね。この三文字で説明がつきます。

この法則は個人でも応用、適用できます。
ご本人が対峙する勇気を持つことができれば
大体このプロセスで内面の痛みや滞り、ブロックを手放していくようです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
くれたけ心理相談室 庄内支部 高橋 友里安    
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