不登校支援について

くれたけ心理相談室 江南支部 柴垣友佳里です。

今回は、不登校の子どもとその親御さんに対して、どのような点に留意しながらサポートさせていただいているかについて書かせていただきました。

①まずは親御さんにドッシリとかまえていただく

子どもが不登校になると、親御さんは子ども以上に不安になり、オロオロしてしまいがちです。「なんで?」「いじめられた?」「勉強が分からない?」など、原因を聞き出そうとしたり、子どもが何日も登校しないと、だんだんイライラしてきて責めるようなことを言ってしまったりすることもあります。

最近は学校の先生も無理には登校を促さなかったり、世間の風潮も学校以外の居場所を認めようとする動きが出てきたりしていますが、そうはいっても子どもにはやっぱり学校に行ってもらいたい、というのが親御さんの本音ではあるようです。共働きのご家庭も多く、何日も仕事を休むわけにはいかないという事情や、我が子の今後のことを考えると不安でたまらないというのもよく分かる気がします。

ただ、そういった親の焦りや不安は、子どもにダイレクトに伝わってしまい、良い結果にはつながりにくいものです。ですので親御さんにはまずは落ち着きを取り戻していただき、ドンとかまえてお子さんの状況を受け止めていただくことをお願いしています。そのためには必要に応じて、まずは親御さんのカウンセリングを先にさせていただくこともあります。

親御さんは、子どもが不登校になったことで家族の軋轢や孤立感などを抱え、ギリギリの状態でカウンセラーの元にいらっしゃることが多いです。子どもが安心して本来の自分に戻るためには、まずは親御さんがゆったりと落ち着きを取り戻すことが大切であることをお伝えします。

不登校支援では親御さんの精神状態を安定させること、これが最優先事項と考えています。

②不登校からの回復~4つのステップ~についての理解

親御さんの一番の不安は ”この先どうなってしまうのだろう?” という、先が見えないところにあるように思います。不登校の種類にもいろいろありますが、回復までにしばらく時間がかかりそうだと判断した場合は、不登校が改善するまでの4つのステップをお伝えし、各段階で必要な対応について理解をしていただくようにしています。先が見通せると親御さんも安心でき、気持ちにも余裕が生まれるように感じます。

Ⅰ.ショック期

不登校のはじめの時期です。親子ともに動揺の真っ只中で、親御さんが子どもに学校へ行かない理由を問い詰めたり、説得したり、強引に登校させようとしてしまいがちなのもこの時期です。それが原因で、子どもが親に不信感を抱き、親子関係がこじれてしまうと、かえって不登校を長引かせてしまうことにもなりかねません。この時期は必要に応じて専門家のサポートも受けながら、気持ちを落ち着かせることが大事です。状況を受け入れ、ここがスタートラインと決め、できることからやっていこうと親子で思えるようになったら、ショック期は卒業です。

Ⅱ.安静期

子どもが家にいることを親御さんが受け入れられるようになったら、二つのことを子どもに伝えます。一つ目は、今は学校へ行けるだけの心身のエネルギーが足りない状態だから、改善するまでは家にいてもよいということ。二つ目は、ただし家にいる間は、心身のエネルギーを溜めるための努力をすること。子どもに、今は家にいてもいいんだという安心感を与えるとともに、だからといって好き放題にしていいわけではない、という自覚をもたせます。心身のエネルギーを溜めるポイントは、食事や睡眠などの生活リズムを整えることです。まだ学校のことには触れず、子どもが家で自由に活動できるようになることを目標とします。

Ⅲ.回復期

心身のエネルギーが溜まってくると、子どもとの会話が増えてきます。はじめは好きなアニメや趣味などの話、そしてだんだんと学校へ行けなくなった理由や将来のことについても自分から話し出すようになってきたりもします。まだこの段階では、親御さんには自分の考えや意見を言うことは控えていただき、子どもが今どんな気持ちでいるか?どうなりたいと思っているか?など、子どもの想いをたくさん引き出してあげられるような関わり方をしてもらいます。子どもに、なりたい未来に向かって、これからどんな行動をしたいかのイメージをもたせることが目標です。

Ⅳ.再活動期

子どもの方から登校について話してきたり、何かやってみたいと意欲を見せてきたら再活動期です。この頃はかなり心身のエネルギーが溜まってきているので、親御さんにはやり過ぎない程度にサポートをしていただきます。例えば、いきなり教室に入るのが不安そうなら、まずは保健室登校からできるように学校に許可をもらう、といったことです。もし再登校を始めたとしても、何かのきっかけでまた行きにくくなることは十分に考えられます。むしろそうなる方が自然ともいえます。その場合も慌てず、焦らず、1ステップ戻ってまたエネルギーを溜め直せば大丈夫です。

<最後に>

子どもの不登校はケースバイケースなので、何かマニュアルがあるわけではないとは思うのですが、4つの段階を一つずつクリアしながら回復していく道筋だけでもイメージできると、親御さんはとても安心されます。そして前向きに取り組んでみようという気持ちになっていただけます。

一進一退を繰り返すことも少なくない不登校支援では、親御さんに伴走するカウンセラーの存在はとても大きいと感じています。ますます増えていくであろう不登校のお悩みに、今後も寄り添いながら取り組んでいきたいと思います。

柴垣 友佳里カウンセラー

くれたけ心理相談室 江南支部 柴垣 友佳里
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