自分で心の痛みを癒す方法

くれたけ心理相談室 札幌支部 有城 蘭と申します。 自分で心の痛みを癒す方法をご紹介いたします。

【はじめに】

多くの人は怪我をしたら傷の手当をし、風邪を引いたら薬を飲んで休んだりします。

目に見える症状に対してはすぐに対応する人は多いと思いますが、心の痛みに対してはなかなか上手にケアができない人も多いようです。

長期間放置したり、かなり症状が進んだ場合は専門家の力を借りた方が良い場合もありますが、比較的早い段階であれば、正しい対処をすることでその後の回復を早めることができます。

自分でできる心の痛みの応急処置の方法をいくつかご紹介します。

『拒絶』の痛み

・・・人から無視されたり、好きな人にふられたり、仲間外れにされたり、人から受け入れてもらえない状態を拒絶といいます。人から拒絶された時の痛みは「麻酔を使わない分娩」に匹敵するほどの痛みを伴うという研究結果もあるそうです。

《対処法》

1.自己否定を言い負かす

 →「自分のせい」のようにネガティブな思考に対して反論する。

2.自信を注入する

 →自分の性格や特徴から長所を5つ書き出し、それを自分にとって大切な順に並べる。上位3つに対して、「なぜそれを大事だと思うか」「そのおかげでどんな良いことがあったか」「それは自分にどんな影響を与えているか」を含めて文章を書く。

3.つながりの感覚を取り戻す

 →拒絶により芽生えた「人が怖い」という恐怖を、別の誰かと繋がることで安心に変える。

4.痛みへの感度を下げる

 →何度も同じことを繰り返すと人はそれに慣れる(=脱感作)習性を利用して、痛みに対して慣れるようにする。ただし、脱感作は使う時間や対象をはっきりと決めて使い過ぎないよう注意する。脱感作の使い過ぎは逆に傷を大きくする可能性がある。

 

『孤独』の痛み

・・・幸せで満ち足りた生活には人との繋がりが不可欠で、孤独が長引くと精神疾患だけでなく身体的にも不調をきたすことがわかっています。孤独が強くなると他人を信用できなくなるので、対人関係にも影響を及ぼします。

《対処法》

※対処する前の注意※
孤独をこじらせない為に、「誤った現実認識を正して悪循環を予防する」「対人スキルを強化して相手の身になって考えられるようになる」「孤独の辛さや痛みを和らげる」ことを念頭において対処する。

1.ネガティブな思い込みをやめて自分のマイナス行動に気づく

 →ポジティブな結果を想像し、迷った時は良い方に解釈する。自分が人と関わる時にしている悪い印象を与えそうな行動を書き出し、実際に人と接する時にその行動をしていないかをチェックする。

2.相手の立場で考え共感力を高める

 →自分と他人は違うという前提を持ち、相手はどう思うかを考えてみる。相手の立場を把握して「これをしたらどう感じるだろう?」と考える癖をつける。

3.出会いの機会を増やす

 →人と会うのが不安な時必要なだけ繰り返し、人との繋がりを強化する。

4.ペットを飼う

 →孤独を改善するというより、その痛みを癒す効果がある。

 

『自信がない』という痛み

・・・心の健康の為には、自分を肯定し価値あるものとして受け入れること(=自己肯定感)が必要で、これが低いと傷つきやすく悲観的で消極的になってしまいます。自己肯定感を高めることは自己愛を強くすることではなく、自分を認め肯定しながらも独りよがりにならずに堅実さを持つことが大切です。

《対処法》

※対処する前の注意※
自己肯定感が低いと心の免疫力が下がり、「傷つきやすくなる」「ポジティブな情報が受け取れなくなる」「弱気になり不利な立場に甘んじる」ことをする傾向が強まるので、これを念頭に置いて、特に自信が無い時やストレスが多いと感じる時に行うと効果的である。

1.自分に優しい言葉をかける

 →自己否定を和らげ弱った心を守るのに役立つ。

2.自分の強みを確認する

 →自己肯定感が低い人にとって、現実からかけ離れたポジティブな言葉がけは逆効果になる場合がある。2枚の紙を用意し、1枚目に自分の良い所を書く。その際ネガティブな感情が浮かんできたら、それを2枚目に書く。1枚目に書いた中から大事だと思うものを1つ選んで「なぜそれが大事だと思うのか?」を文章に書く。2枚目は丸めて捨てる。これを1日1回から始めてみる。

3.ポジティブな評価を受け入れる

 →過去に人に褒められたことを書き出し、「それについてどう思うか」「それは対人関係にどんな影響があったか」「それは対人関係以外でどう役立つか」について考える。誉め言葉を受け入れられるようになるまで、定期的に繰り返す。

4.要求を伝えて現実を改善する

 →日常の中で上手くいかないと感じるストレスを書き出し、それらを「できそう」「被害が少ない」順に並べ、それを元に行動プランを考える。どうすれば上手くいくかを考えて少しずつ実行に移してみる。

5.もっと自分を好きになれるようになる

 →自分を好きになるには、好きになれるような自分になることも大切。目標に向かって着実に努力したり自分の力を高めることで、自分を信頼し好きになることができる。その為に必要なのは意志力。意志力は使うと疲れるので、少しずつ鍛えたり無駄遣いをしないように上手く付き合うことが大切になってくる。

 

【終わりに】

ここに書いた痛みはごく一部ですが、私にも経験があり、多くの人にとっても何かしらの経験があるのではないかと思います。まずはできることから、と自分に取り入れやすいものもありますし、私が実際にやってみたものもあります。

痛みを全て自分で解決するのは難しくとも、カウンセリングを受けに来たクライエント様に対しても、自分でできるメンテナンスの範囲で取り入れることができるスキルの提案にもなると思ったので、一部にはなりますが、まとめて書かせていただきました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

参考文献:「自分で心を手当する方法~EMOTIONAL FIRST AID~」
ガイ・ウィンチ著 高橋 璃子訳 かんき出版

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